Duality

自己表現 本 考え 生き方について

岡本太郎のすすめ

先日ある読書会に参加しました。参加者の一人が岡本太郎の「自分の中に毒を持て」という本を紹介されました。自分自身岡本太郎には関心があり、著書も数冊読み、青山にある記念館にも行ったことがあります。

結構メジャーな方ではありますが、意外と本を読んだ事がない方もいらっしゃいました。

岡本太郎芸術は爆発だの人、ちょっと変な人、太陽の塔の人 ってな感じの方にこの記事を書きます。

 

 

目次

岡本太郎の全体に貫かれた価値観

まず読むならこれ

読むのも面倒な方(現代人へ)

 

岡本太郎の全体に貫かれた価値観

まず、岡本太郎は強烈な価値観の持ち主です。自己啓発本には「成功」「幸せ」が大きなウエイトを占めています。しかし岡本太郎に「成功」や「幸せ」という概念は存在しません。

世間的な成功、名声、安定、家族的な幸せを断固否定します。いや、世間的な成功をめざしても虚しい、「分かってるだろ現代人そんな物を追い求めても虚しさの深みにはまっていき、生きづらさを抱えるだけだ。そんなのは人間的ではない。家族的?幸せ?ぬるい!ぬるすぎる」(だいぶ意訳してます)と言っています。

その根幹には、おそらく人生は無目的という考えが流れているからです。

何か意味があるとか、成功が保証されているとか、私たちはついつい何か見返りがあるから行動しています。仕事を我慢する、上役にニコニコする=給料のためのように。

無条件にやってみる事が大切だとしきりに述べます。例えば、やりたいことがない、しかし今の職場を辞めたい、仕事がいやだというなら今すぐに仕事をやめろ。辞めるという自分の筋を貫くのだ。と。普通ありえないですよ。辞めるにしても次に食っていける事がぼんやりと見えているならまだしも、後先考えず辞めろというのです。

 

岡本太郎は自身の生い立ちにもからめて、自分のことを「ごまかせないたち」だと言っています。

 

また、芸術の根本条件を3つあげています。

今日の芸術は、

うまくあってはいけない

きれいであってはならない

こkちよくあってはならない

 

これは逆説のいみではありません。

二点解説します。

 

1、岡本太郎の芸術とは新しさを重要視します。

人間に心に深く刻むような、また時代に反するような、時代を造っていく事が大切だと考えます。時代をつくる、つまり最先端にいるのです。最先端は、多数派=いわゆるぬるい人たちには理解できません。今までのような「わびさび」富士山が好まれる訳です。しかし太郎は、そんな多数派がここちいいだけのただ過去を踏襲しただけの、何も心を震わさない毒にも薬にもならない物に価値はない。つまらないといいます。

日本人の鑑賞態度にも言及し、画家のブランドにこだわりすぎて何もみれていないとおいっています。へんてこな絵だなーと思っても、ゴッホ作だと言われると、途端にいい絵だという。その精神が実にいやらしいらしいのです。

そして、

2、芸術は万人の物だ。芸術は生きること。人生即芸術と言っています。

どういう意味かというと、芸術は何も芸術家だけの物ではない。芸術家はうまい、きれい。しかし、芸術は表現する事だから、その表現がプロにかぎられるのはおかしい。といっているのです。話がとびますが、プロ野球の存在すらもよく思っていません。例えば自分は歌がうまくない、なら、歌が下手だとか気にせず下手なら下手なりに歌えばいい。かっこうつけずに自分の力を出し切れ、10点でいい15点でいい。かっこうつけていきるから虚しいんだ。むしろ人間は下手な方がいいんだ。といっています。うまくやろうとする精神がいやしい。とここでも無条件を説いています。

 

最初に読むならこの二冊

今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)

今日の芸術―時代を創造するものは誰か (光文社知恵の森文庫)

 

 

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間

自分の中に毒を持て―あなたは“常識人間"を捨てられるか (青春文庫)

 

 迷ったら下の方がいいと思います。売上的には下が圧倒的だと思います。

また名言集もあります。しかし、あまりこれはオススメしません。前後の文脈がないと本当に言いたい事の意味がつかめません。言葉だけだと正直「どんどん行動しようぜ」的な啓発本に岡本太郎の看板を背負わせただけ。なんだ、そうでもないなと思ってしまうのはもったいない。やはり原本からあたってください。

 

本を読む時間もない分業化され虚しさを抱えた現代人へ。

一時間弱の講演がYoutubeにアップされているので是非きいてみてください。内容的には紹介した上記二冊にまたがってます。


岡本太郎講演「芸術と人生」